第32回 宇宙と消したい過去

「ゴキブリが逃げる時、なぜ私の顔に向かって飛んで来たのか?」。身近で生じた疑問です。同様の疑問が「宇宙」です。地球も私も宇宙の一つ。でも空気のように、普段から意識しているわけではありません。しかし「ビックバン」と5文字を検索しただけで、そこから先、私を取り巻く「宇宙」が次々と展開します。「加速する宇宙の膨張」だの「収束」だの「ブラックホールの蒸発」だの、私、わかりません。そもそもビックバンを説明されても、風船で宇宙の膨張を教えてもらっても「それが起こる空間はどこ?」と、私、思考回路が停止です。きっと、ゴキブリも思考停止したんです。自分に置き換えたら理解できました。

実家から広島に戻る時に利用する、JR在来線「Red Wing」。乗り心地の良い車両で、いつもぐっすり寝てしまいます。目が覚める頃には、西広島か横川あたり。ふと、40分位前に乗車した駅と、その前の実家を出たところまでを思い返してみます。今しがた私がいたその場所は、過去の場所。つまり過去の駅と実家であり、そこに母がいる。でも同時にその場所は、現在の私と並行する時間の場所でもある。何だこれは。水筒のお茶を飲みながら考えていたら、広島駅に着きました。私、「時間」と「空間」の概念に触れようとしてませんか。

5歳頃から私の記憶は始まりました。そこから10年間くらい、消したい過去が続きます。他人なら大っ嫌いな子供の私。第三者的視点で一例を見てみましょう。子供の私君が、幼稚園の同級生の誕生日会に招待されています。私君の座るテーブルには「ウルトラマン」と書いた名札が置いてありますね。疑問顔の私君が同級生のお母さんに「これは何」と質問しています。「今日は本当の名前じゃなくて、名札の名前で呼び合おうね」と、お母さんが答えました。同級生とお母さんが考えた、みんなを楽しませようとの計らいでしょう。なのに私君は「なんだ。ウルトラマンのおもちゃをくれるのかと思った。ウルトラマンて呼ばなくていい」。耳を疑うとは、まさにこの事。挙げ句「人数が少ないね。僕の誕生日会は10人いたよ」。何様のつもりですか。親の躾はどうなってるんだ。しかも「面白くないから帰る」。やだよこんな子供。でも私君のこの様な言動は、その後も続くのです。なぜ楽しい思い出は忘れていくのに、消したい過去は年々鮮明になるでしょうか。いじめの問題で尾木直樹氏 (尾木ママ)が、次の様なコメントをしていました。「いじめはね、被害者だけでなく、加害者も一生心に傷が残るの」。私はこれからもずっと、私君と生きていくのですか。果てしない宇宙を共に旅するメーテルと鉄郎にように、私、なるのですか。

多様性のカルチャー教室『正しいお詫び講座』

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