第55回 G7広島サミットリポート
現地特派員 ゴーストライターX・大門未知夫
キー局の全国ニュースがお好み焼きを「広島焼き」と呼ばず、正しく「お好み焼き」または「お好み焼き《広島風》」と報道したG7広島サミット。ゼレンスキー大統領来広で、当初の関東地区(キー局)テレビ番組予定表からも、扱いは大きく変わっていた。サミット終了後警察官が各地に帰ると、「ほんま寂しゅうなった」とインタビューに答えた高齢者。広島が異様な雰囲気に包まれた数日間を振り返り、現地から総括する。
アメリカ合衆国第46代大統領ジョー・バイデン氏。コロラド州で砂袋につまずき転倒されても、厳島神社の階段でよろけそうになられても、やはり待遇が別格。存在は格別だった。地元各局の長時間特集番組やキー局のインターネットライブ中継を観て、私は特に印象的な場面、驚いたことが2つある。
ワシントンから岩国基地に飛来した「エアフォースワン」。ここから空路広島への移動を、まず「マリーンワン」岩国離陸までを中継した。オバマ元大統領来広時の飛行ルートは、距離を保ち並走飛行するテレビ局の望遠撮影から、宮島の東海上を北進していたようだ。同じルートで広島到着と思っていたら、次にマリーンワンを捉えた映像が驚きの「ナニコレ珍百景」。厳島神社・大鳥居上空で編隊飛行だった。この光景は「警察24時」でも見られまい。
わざわさ島東岸から弥山を越えて、こちら側にきたとは考えにくい。すると数回米軍ヘリを見かけたことのある宮島西岸・大野瀬戸を通る「米軍賓客向け・厳島神社遊覧ルート」(注 私が勝手に名付けた非公認ルート)ではないのか。だとすれば、実家の目の前をマリーンワンが飛んだ可能性がある。母に確認すると「はぁ」しか言わない。だが母が通所する、宮島と海を望む高台の介護施設グラウンドには、常時二人の警察官がサミット前から張り付き、お年寄りが気味悪がっていたそうだ。海に近い馴染みの石窯焼きパン屋さんは「知らなかった。それでこの辺りに警官がいたのかも」と話された。私の推測は確信となってゆく。
世界最高権力者が、実家上空を覆う工場の煙突から出る汚れた空気を吸ってくれた。私はバイデン大統領を身近に感じた。ありがとうございます、大統領閣下。機内は臭くなかったですか。
サミット2日目の日程で「グローバル・インフラ投資パートナーシップに関するサイドイベント」が開かれた。この会合はG7首脳以外にも、フィンランドのルンドマルク・ノキア代表取締役社長ほかも参加し、ライブ中継された。テーブルにはミネラルウォーターとコーヒーカップが置いてあり、フォン・デア・ライエン欧州委員長の発言中、一斉にコーヒーの給仕があった。この時バイデン大統領はコーヒーサーブをした給仕の人に、顔を上げにっこり微笑み「サンキュー」とお礼を言われていた。それは当たり前のように、ごく自然な振る舞いで、強く印象に残る。コロナ禍の会見で、入口から演壇に向かう途中に足元の小さなゴミを見つけ、わざわざ周囲の人にここここと指差し呼び寄せ拾わさせた「そのくらいご自分でお拾いください。感じ悪いですよ」が印象に残る、当時の経済再生担当大臣とは大変な相違であった。
G7広島サミットの得難い体験は、私に良い「冥土の土産」ができた。また新しい発見もした。航空機追跡アプリ「Flightradar24」では非表示だったエアフォースワン。後日SNS上の投稿から同様の「AirNav RadarBox」があり、ここは追跡可能と知った。各国首脳が立て続けに岩国基地と広島空港に到着した5月18日。先のFligtradar24画面には定期便が広島エリアを避けて飛ぶ、オゾンホールのような空白域が出現した。何よりもこの期間、カラスの鳴き声と姿がなかった。早朝から深夜に及んだ上空警備のヘリコプター音。奴らどもの弱点はここと、私は見破ったのだ。
G7広島サミット見取図
ノルディックサウンド広島
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