第54回 なんてったってアイドル
秋元康氏プロデュースAKB48グループのひとつ、広島を母港に瀬戸内7県の港を巡り、船上劇場STU48号 (671トン)で公演を行うSTU48。コロナ禍の影響を受けて短期間で専用船を手放し、現在は陸上で活動。ご当地アイドルグループの地元代表格である。その他にも地下アイドルの名を目にするが、私は疎い。いつの時代にも子供たちのアイドル、高齢者のアイドルとさまざまなアイドルは存在し、「勇気と元気」「愛と老後の生きる糧」を与え続けてきた。これは一組の地下アイドルグループがローカルから全国へと飛躍した、サクセスストーリーの一端である。
「会場のみんな~、オールナイト・アイドルフェスにようこそ~」。「ここからは私たち、『アイドルグループ除籍謄本』のステージで~す」。「知らない人は、はじめまして~」。「今夜は~みんなを~寝かせないぞ !!」。(この番組は、質の高い睡眠環境を提供する「アフリカンベッド」、不眠症状の緩和に第2類医薬品「リカ・ペチョラ」、伝統は文化の源「日本能・義太夫保存振興会」、長時間睡眠へ素早い効果のブランド針「眠れる森の美女」ほか、ご覧の各社の提供でお送りします)」。
「オープニング曲《迎え酒はフォーチュン・クッキー》楽しんでくれたかな」。「ここでお決まりの自己紹介をしま~す。右腹に盲腸の傷痕が残るミズナです!」「正露丸が手放せないルッコラです!」「株式投資に失敗したヤーコンです! 」「3人合わせてぇ~~ アイドルグループ除籍謄本です!!」。「私たち見た目は小柄でも」。「おいたをする大人は許せない」。「医者に代わって、直腸指診よ!」。「今夜もバッチリ挨拶が決まったところで2曲目です。これ、ルッコラが好きなスローバラードだよね」。「そ~なんですよ、川崎さん。いやミズナさん。唯一の楽しみがお肉を食べること、孤独に生きてきた年老いた女性がね、最期は非業の死を遂げる歌なんです。ヤバイ、もう涙が出てきた」。「こらこら。では聴いてください。《安達ヶ原の老婆》」。
「7曲目は《水に流されたよ、アリの大群》でした」。「みんなノリノリだね~」。「そこの男子~、ギプスをつけた腕振って大丈夫~」。「ご自愛くださいませ」。「ここで、嬉しい報告がありま~す」。「せ~の」。「私たちのメジャーデビュー曲《元彼はいつもチュー犬ハチ》が、今日、CD売り上げ100万枚突破しましたぁ~。ありがとう~」。「さ~ら~に、ビッグニュースで~す」。「なんと、大間崎駿監督10年ぶりの新作『柏餅の妖精ダックワーズ』で、私たち主題歌を歌いま~す」。「曲名は《アナグマとひなたぼっこ》」。「ほのぼのタイトルとは裏腹に、歌詞はささくれてま~す」。「もしかしたら公開日が延期になるかもしれないけど、楽しみに待っててね~」。「さて私たちの持ち時間も、残りわずか」。「次が最後の曲です。ヤーコンこの曲、メッチャ好きじゃん」。「友だちを失って、毎朝絶望感で目覚める男の人の歌なんだ。鰐淵剛さんが作ってくれたんだよ。だから心を込めて歌います。《友よさらば ~Elegy for you~》」。
〆俺のグローリー 見失っちまった
俺の自信 無くしちまった
黒が善 白は悪 無意味な縛りにとらわれるな
他人の視線から 解放するんだ
お前を離せないのに 俺からお前は去っていく 去っていく 去っていく
黒が白色になるくらい なんてことなかった
お前を失うほど 哀しいことはなかった
枕に残るお前 シーツに散ったお前
さようなら 髪は長いお友だち
この曲は「アイドルグループのイメージを打破した画期的作品」とファンから支持されたが、「不当な差別はあってはならないとの認識の下」保守系議員の指摘により、発売中止となった。(《友よさらば ~Elegy for you~》Mickeypedia情報)
「アイドルグループ除籍謄本」トンパチドーム大阪公演ポスター
ノルディックサウンド広島
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