第53回 偏向歌謡祭

歌は世につれ、世は歌につれ。どうもどうもゴーストライターX 大門未知夫です。私に1分間時間をください。テレビの歌番組に歌詞は出ない昭和。白黒のアニメ番組に「カラー」の文字が出た昭和。同じドーナツ盤を繰り返し聴き「とめろ」と父に叱られた昭和。そこに思い出と歌がありました。平成は職場の2次会でカラオケ。私の曲は少し他人と違います。でもそれでいい。お酒はぬるめの燗がいい、肴はあぶったイカでいい。聴いてください。私が好きな「日本の歌」。でも、チョットだけよ。

*「男なら 闘う時が来る‥‥脚をくじけば 膝で這い 指をくじけば 肘で這い‥」。何もそこまでの歌詞と美しいバラードが劇場版アニメ『あしたのジョー』主題歌《美しき狼たち》(1979年)。おぼたけしが歌います。音程を外し私も歌いました。

*「ヘンとヘンを集めて もっとヘンにしましょう‥‥おどろいたりしてはいけない おちついて 話しあいましょう」。サンバのリズムにのって歌詞が私の胸を打つ、アニメ「うる星やつら」エンディング曲《宇宙は大ヘンだ》(1982年)。G7広島サミット公式テーマソングにいかがでしょう。

*映画版で判明する真のラストは、まさに伝説です。打ち切られたテレビ版「伝説巨神イデオン」エンディング曲《コスモスに君と》(1980年)。戸田恵子がこの歌とカララ・アジバの声を担当。作画監督湖川友謙が描く映画版カララの美貌もまた伝説です。成り行きで敵となる姉ハルル・アジバ。艦体司令官ルクク・キル。クール・ビューティーで私のタイプです。

*「音楽 冨田勲」。大きく画面にクレジットされた映画、テレビ、アニメーションの音楽とグリコプッチンプリンは、子供の私を虜にしました。「ホゲホゲホゲ タラタラ ホゲタラポン」。こんな歌詞で始まる「どろろ」主題歌《どろろの歌》(1969年)。オーケストレーションを含めて冨田勲の音楽は唯一無二。いずれも大陸のような広がりと、日本の情緒を感じます。

~ 休憩 (Intermission)~

偏った選曲、ご堪能いただけてますか。引き続き後半もどうぞ。

*新御三家の西城秀樹(広島市出身)。《若き獅子たち》(1976年)はカレーを食べずとも秀樹に感激。唯一買った秀樹レコードでした。三木たかし作編曲。前奏から「太陽に向かい 歩いてるかぎり 影を踏むことはない」、間奏、後奏、全てがカッコいい。中学2年の私は秀樹の歌に合わせ、部屋でひとり自作の創作ダンスをしていました。

*人気絶頂時に芸能界引退のキャンディーズ。「あなたに夢中」でレコードデビューまもない、まだ人気のなかった頃のキャンディーズを、私は観ています。山口県和木町での公開録画番組出演者のひとりとして。宮島対岸にあった遊園地「広島ナタリー」の専属イメージキャラクターだったキャンディーズ・ショーで。その時「広島ナタリー」の歌も聴きました。広島にも縁のあるキャンディーズ。人気の上昇に反して来園回数は減り、遂に彼女たちのテレビCMもなくなりました。「ギャラが上がり契約更新できない」が、中学校内で流れた噂です。《哀愁のシンフォニー》(1976年)も三木たかし作曲。短・長・短調の美しい曲で、唯一買ったキャンディーズレコードでした。

*過去のレコード購入履歴に、ジャニーズ関係が1枚あります。少年隊《ふたり》(1988年)。ケースが縦長で折れるCDシングル盤です。営業車内のAMラジオで『小沢昭一の小沢昭一的こころ』の後に流れたスローバラード曲。聞き惚れました。編曲も良いのですが、作詞・作曲は飛鳥涼(ASKA)。覚醒剤取締法違反で逮捕されるのは、もう少し先のことでございます。

「偏向歌謡祭」はこれで終わります。こうして皆さんと、私が好きな音楽と偏りを確認できる幸せ。ありがとうございます。最後にもう1曲、父に叱られた曲名を教えましょう。特撮ドラマ「キャプテンウルトラ」エンディング曲《宇宙マーチ》(1967年)。作編曲は冨田勲。もちろん意識せずに聴いていました。幼稚園時代です。そこで「好きな音楽の傾向は、この頃から決まっている」。私のイグ・ノーベル賞級大発見でした。


友達と覚えた、激しい振り付けピンク・レディ、対照的な金井克子。

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