第50回 やさしい「お金」白書
今まで見たこともないセミ・セルフレジは、何も書いてない変な投入口だらけ。隣の人はすぐに会計を済ませ去っていく。私は迷い急かされ適当にお金を入れた。チャリンチャリンと硬貨の音が止まらず、レジは壊れた。「弁償してもらいます」。店員が言った。私が松の内に見た怖い夢。
怖いでしょう。手持資金に余裕のない自営業の方。毎月の高額ローン返済に追われ、家計が窮する方。そしてなぜかお金に苦労されている方。突然、目処の立たない100万円以上の請求を求められたら。怖いです。分かって貰えますよね。相場格言「卯跳ねる」の新年早々、寝ても「お金」で悩んだ私は、今年も胸キュンの予感。何も胸キュンするのは、恋愛映画や失恋ドラマの主人公とは限らないのです。ちなみに私の場合、時々不整脈でも胸キュンします。
人の体調に影響を与えてしまう「お金」。でも悪いことばかりではありません。子供の頃、親戚から貰ったお年玉が予想より多かった時は、買いたい品の選択範囲が広がり、浮かれ心になりました。大人の今は、思いも掛けない遺産相続が、たとえ少額でもお年玉といえるでしょう。
「お金」はまた、人に悪事をなさせます。赤の他人に欲しくもない迷惑を与えてしまうのです。2001年6月15日。朝から『ノルディックサウンド広島のいちばん長い日』が始まりました。前夜、何者かが最新式の鍵を壊して入居ビルの店舗と事務所のみに侵入、室内を荒らしお金を盗んだのです。貴重品と紙幣は毎日持ち帰っていましたが、店に置いていた硬貨から高額硬貨のみ総額7,320円の被害に遭いました。近隣交番の警察官から質問調書を受け終了後に、「あとから県警本部の人が来て、同じ質問をします」と申し訳なさそうに言われ、本当にそうでした。さらに本部の人は「必ず消去します。犯人の指紋を絞り込むため」と、私の指紋も持ち帰りました。でもまさか『踊る大捜査線』でよくある所轄と上部組織との上下関係を、実際に見るとは思いも寄らなかったことです。警察の出入りのなかで店の営業は続け、応急の鍵が設置されるのを待ち、他のテナントの方と「気味が悪いね。気をつけよう」と被害状況を確認しあい、建物内のあちらこちらに鑑識の白い粉を残して、ながい1日が終わりました。
数日後に聞いた話では、あの晩、この界隈の多くのビルのテナントに集団窃盗団が入り被害を受けたようです。そして事件から5~6年経過後、犯人が捕まりました。中国集団窃盗団の一グループでした。7,320円の「お金」は今も戻ってきません。『逃げた女房と逃げた「お金」は逃げたまま』。この白書で最重要ポイントです。
犬のぽちのおかげで、お金持ちになった花咲か爺さん夫妻。
ノルディックサウンド広島
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