第47回 広島良いとこ、一度はきんさい (広島弁による)

小学生の頃じゃ。わしは地区の盆踊り大会で、毎年2時間、本気で踊っとった。昭和のストリートダンサーじゃの。新しく出来た「地区の音頭」から、地元出身有名作詞家の「地元市の音頭」、ようわからんが「東京音頭」「東京五輪音頭」「オバQ音頭」まで、事前に地区の公民館で開かれた、日本舞踊先生ご指導「両手を左右に振って、後ろに下がり片足トン」を受けて、本番に臨んだ。”♪七つ川の瀬 空から泳ぐ ‥‥ソレ浮かんではずんで シャシャントナ” と、当時は県内他市曲「広島音頭」もそのひとつじゃった。

「広島」。未訪問の遠方者からは、どんなイメージなんかのう。人類史上初の原爆投下で、放射能に汚染された街かの。幼稚園児でもヤクザ言葉を話す街かの。進学や転勤で広島行き決定の人には、不安な街かもしれん。見えない何かが見えちょる人には、怖い街じゃろう。経済誌やネット上じゃ「札・仙・広・福」地方4大都市を比較しとるが、最下位に「広島」と、よう推挙してくれちょる。要因にゃ「広島空港が遠くにあるけぇ」「広島大学が遠くにあるけぇ」「地下鉄がないけぇ」等じゃ。こんなんは山際事務所に記録は残ってのうても、すぐ確認できる事実じゃが。

広島市の朝の風物詩は、自転車集団の高校生なんじゃ。JR広島駅前駐輪場から、南に点在する県・市・私立高校への通学生が、暴走チャリンコ族と化すんで。大きな交差点じゃ「歩行者・自転車専用信号」青色点滅終了間際に、彼らは加速して一斉突入しよる。危ないのぉ。ほいで信号に従い止まった善き高校生は、停止位置を見誤ると、頭上の電線や街路灯で佇む「平和のハト」から悪意のない排泄物を、衆人環視の中で浴びるんで。ほんま微笑ましい光景じゃ。

ここでもうお気づきじゃろ。広島はぶち良い所なんで。わしは日本で一番美しい都市は「広島」と、全都市を見んでも推挙する。なんでか言うと ”♪七つ川の瀬 (※1)”  と謳われるようにの、山側から広島湾へと注ぐ太田川が大きく6本に分かれ、その三角州上に超高層ビルも建つ現代都市の美しさは、この地形によってのみ成立するからじゃ。桜の目黒川6本じゃとそうはならん。わしは旧広島空港からの離陸直後に、低空の機内から見た広島市街地、川の青と海の青、植栽で溢れた街並みの緑、昔は島の山笑う、赤のモスバーガー向かい自宅ワンルームマンションのきちゃない茶色に、ほんま感動した。広島は「水の都」じゃったんじゃ。

地下鉄はないが路面電車が走る「広島」。2025年、現在建て替え中のJR広島駅ビルが完成すると、直接2階コンコースに路面電車が入ってくる。わしは絵になるこの場所を含めて、ハリウッドの怪獣映画やSF・ディザスター映画で画面目一杯に破壊される、美しい広島の街を観たいんじゃ。もちろん世界中の人にも観てもらいたい。トライポッドの光線を浴び、灰になる役でもええけぇ、わしもその映画に出てみたいのう。

※1 太田川放水路(1968年完成)設置工事で、旧福島川を埋め立てたため、現在は6本。


「ひろしまフラワーフェステバル」ほんまのテーマ曲を忘れんさんな。

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