第42回 エッセイ《注射は痛みを伴って》
ちゅうしゃ【注射】①子供には痛い、怖いもの。(=お化け)。②言動が常識外れの人にかける言葉「一度お注射しましょうね」。③大人のお医者さんごっこ「ドクロベエ様、どうかお許しを」「注射でお仕置きだべぇ~」。(広辞苑不掲載)
2021年10月22日午後5時半過ぎ。私のコロナワクチン(モデルナ製)2回目接種が終わった。予診で医師とのやりとり。「1回目に副反応はありましたか」「腕が数日痛かったくらいです。歳なんで今回もその程度ですよね」「いいえ。2回目はわかりませんよ」。その夜、熱が出た。お茶を飲む。倦怠感が襲う。解熱鎮痛剤を服用。寝る。症状は収まる。しかし薬の効果が切れだすとまた熱が出た。お茶を飲む。倦怠感がぶり返す。解熱鎮痛剤を服用。少し寝る。再び症状が緩和される。この繰り返しが3日間続いた。その後、小さな文字がよく見える、人の名前がすぐ浮かぶ、薄毛解消、「驚いた。年齢より20歳若く見える」といった高齢者が喜ぶ副反応もなく、今日に至る。
注射が嬉しくて、顔を紅潮させ打ってもらう子供は、多くないはず。特に幼児期は大抵、泣くか、ぐずる。私もそのひとりだった。小学校の集団接種時は顔を反対側に背け、目を閉じて受けた。今もそうだ。注射針は1本でも痛い。だが「BCG接種」は注射針9本の形態。注射のモンスターだ。それを二か所打つ。学校で初めての接種では、恐々の順番待ちの私は先に打ち終わったクラスメートに「どうじゃった?痛かった?」と聞いた。ところが皆「全然、いとうない」と返答。事実私も痛くない。最恐「BCG接種」は子供たちから「痛くない注射」「ハンコ注射」と舐められた。「BCG」は見掛け倒し。だがそれは間違っていた。「BCG接種」は「666」のように18箇所の注射痕を、今も左上腕部にシミに紛れ、残しているのだ。
《付録》『今すぐ打ちたい!! 本当にお薦めの痛い注射』 ①中学1年の盲腸の手術で背骨に打った下半身の麻酔薬。針が刺さった瞬間「ズン」と叩かれたような強い痛み。声が出た。②前職で営業車から降りた瞬間、蓋の取れた穴で怪我をした。病院で傷の縫合直前、医師の「痛いですよ、ここ痛いですよ」と実況付きで数か所打った麻酔薬。声も出ない。③予期せぬ臀部筋肉注射。看護婦の友達のお母さんにお尻を晒す。お知り合いだけどでお尻は出したくない。
小学校集団接種のエピソード
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